嶽之枝尾神楽 について
●祭日 毎年12月第1土曜・日曜
●場所 嶽之枝尾神社、または民家
嶽之枝尾神楽は、宿借、注繩引鬼人、星指など、全国的に類を見ない演目が多く、貴重な伝承と言われる。稽古は「ならし」といい、以前は、3集落の民家をならし宿として輪番制で行われていたが、昭和43年(1968年)に嶽之枝尾神社の舞殿を改築してからは主に神社で行われるようになった。
嶽之枝尾神楽には平祭りと33番の注連の大祭があり、移転後は神楽保存の為に3年に1度だった注連の大祭を毎年12月第1土曜から日曜にかけて行うようになった。注連は、青柴垣の外神屋中央に高天原の祭壇を設け、その左右両側に御弊、紅白の反物、日月を表した御笠などで飾られる大宝の注連を6本ずつ計12本、立てる。八調子の激しい太鼓に静かな舞が特徴で、「ゴヤセキ」と呼ばれる女性達による神楽セリ歌と囃子が夜神楽を盛り立てる。
スポット
嶽之枝尾神楽の「宿借り」
破れ笠に蓑を負い、腰に刀を帯び、破れ草履をはき、竹杖をついたみすぼらしい姿の旅人が、暗くなってから神楽宿にやって来る。「御宿申し候」と一夜の宿を乞う。(中略)一夜の宿を乞う蓑笠姿の旅人が実は神であったという話は蘇民将来説話のスサノオや牛頭天王をはじめよく知られており、こうした民間伝承が背景にあったとみてよい。嶽之枝尾の「宿借り」は信仰深く神楽の中に行なわれてきたために今日に伝わった。この「宿借り」の発見は、椎葉神楽の中でも特筆すべきものと思われる。(渡辺伸夫『椎葉神楽発掘』より)